フィラーはヒアルロン酸ゲルでボリュームを補い、輪郭を整える施術です。
ただし決まった部位に決まった量を入れるのではなく、まず顔全体のバランスを診断し、必要な部位を決める設計が結果を左右します。
効果や持続期間は、製品の物性や個人の条件によって異なります。
➊フィラーとは、正確にはどのような施術ですか?
ヒアルロン酸(HA)をゲル状に加工し、真皮や皮下層へ注入してボリュームを補う施術です。
加齢とともに骨が吸収され、脂肪層の位置が変わり、皮膚もたるみます。これらが重なると特定の部位がへこんだり、影ができたりします。
大切なのは、フィラーが単にしわを埋める施術ではないという点です。
顔は骨、筋肉、脂肪、靱帯が組み合わさる構造で、一部位の変化は周囲の印象にも影響します。
そのため、埋める場所一つだけでなく、まず顔全体の比率を見る設計が必要です。
➋一部位を埋める方法と、バランスを見る方法はどう違いますか?
フィラーというと、ほうれい線、頬、あごなど決まった部位へ決まった量を入れるものと考えがちです。
特定部位だけを改善したい場合はその方法も可能ですが、周囲との比率がずれ、かえって不自然になることがあります。
例えば、ほうれい線だけを埋めると、頬のボリュームが相対的に少なく見える場合があります。
逆に、こめかみ、頬、フェイスラインのボリュームとたるみを先に把握し、必要な点に少量ずつ分けて配置すると、一部位だけが目立ちにくいことが多いです。
| 方法 | 主な特徴 | 留意点 |
|---|---|---|
| 局所充填 | 決まった部位・量を集中的に補う | 周囲との比率がずれる可能性 |
| バランス設計 | 複数部位へ少量ずつ配置 | 部位ごとに異なる物性を組み合わせる |
「フィラーは決まった部位に決まった量を入れるより、顔全体の構造を読み取って必要な点を設計する施術に近いものです」
➌自分に合う方法は?選択基準
基準は二つです。
一つ目は悩みの範囲です。目の下の影や唇など、局所的な悩みが明確なら、その部位を中心とした施術も検討できます。
二つ目は加齢変化の程度です。たるみとボリューム減少が複数の部位にある場合、全体のバランスを見る設計が自然になることが多いです。
正確な区別には、診察で顔の比率、肌の状態、骨の形を合わせて確認する必要があります。
特に目の下のように皮膚が薄く血管が複雑な部位は、方法自体が異なるため、部位の特性を理解した設計が必要です。
- ✓ 局所的な悩み:特定部位の改善に集中
- ✓ 全体のバランス:複数部位を一緒に設計
- ✓ どちらも可能で、診察で悩みの範囲に応じて選択
➍効果はいつから、どのくらい続きますか?
注入直後からボリュームが補われたことは確認できますが、初期は腫れや圧迫痕によって、やや不自然に感じることがあります。
腫れは通常数日で落ち着き、ゲルが組織になじみます。
持続は製品の架橋度、注入部位、個人の代謝によって差が大きく、一般には数か月から1年前後とされています。
ただし個人差があり、正確な持続期間は保証できません。
| 分類 | 主な特徴 | 備考 |
|---|---|---|
| 高架橋製品 | 比較的長持ちし、硬めの質感 | あご・鼻など支えが必要な部位 |
| 低架橋製品 | 柔らかく自然な質感 | 目の下・唇など薄い部位 |
| 回復期間 | 腫れ・圧迫痕は数日で軽快 | 個人差あり |

➎フィラーの副作用と注意事項
ヒアルロン酸フィラーは比較的安全性が知られていますが、副作用がまったくないとは言えません。
よくある局所反応は内出血、腫れ、圧迫痕などで、多くは時間とともに自然に軽快します。
まれですが、特に注意すべきなのは血管に関する合併症です。
フィラーが血管内に入ると、血流障害による皮膚壊死や、非常にまれに視力への影響が生じるとの報告があります。
眉間、鼻、目の下など血管が複雑な部位では、熟練した方法が重要です。
ヒアルロン酸フィラーは、問題が生じた際に分解酵素で調整できることが特徴です。
ただし血管関連の合併症の一部は元に戻すことが難しいため、事前の相談で病歴やアレルギーを確認する必要があります。
➏バランス設計が必要な状態と、そうでない状態
顔の比率を診断して、複数部位にボリューム減少や左右差があり、それらをつなげて補うことで全体の調和が改善すると判断できる場合、バランス重視の設計が有利です。
反対に、目の下のたるみが強い、脂肪の突出が目立つ、皮膚の弛緩がかなり進んでいる場合は、フィラーだけでは期待する変化が出にくいことがあります。
こうした場合は施術範囲を広げるより、併用や代替の方法を先に説明することを原則にしています。
結果は個人の状態によって異なることがあります。
「まず顔全体のボリュームと左右差を一緒に診断し、その結果から充填が合うか、別の方法が合うかを判断します」

Qよくある質問
部分的な変化はあり得ます。
ただし顔は骨、脂肪、靱帯がつながった構造なので、一か所だけ補うと比率がずれることがあります。全体のバランスも考慮した設計をお勧めします。
製品の架橋度、注入部位、個人の代謝によりますが、おおむね数か月から1年前後とされています。
より具体的な期間は、診察で状態を見てご案内します。
ヒアルロン酸フィラーは分解酵素で調整できるため、比較的安全とされます。
ただし、まれな血管合併症は元に戻すことが難しい場合があり、事前の相談が重要です。
直後は腫れや圧迫痕でやや不自然に感じることがありますが、通常は数日で落ち着いてなじみます。
回復速度には個人差があります。
まず1:1の診察で顔全体の比率、へこんだ部位、たるみの程度を確認します。
その後、必要な部位と製剤の物性を設計して施術し、ご自身の状態に合う計画をご案内します(個人差あり)。
参考資料
- Toward Physicochemical and Rheological Characterization of Different Injectable Hyaluronic Acid Dermal Fillers, 2021
- Lower Eyelid Dark Circles (Tear Trough and Lid-Cheek Junction): A Stepwise Assessment Framework, 2024
- Hyaluronic Acid Filler Longevity and Localization: Magnetic Resonance Imaging Evidence, 2020
フィラーは空いた場所を埋めるより、顔全体のバランスを整え直す過程に近いものです。
フィラーはヒアルロン酸でボリュームを補い、輪郭と比率を整える施術です。設計を一部位でなく顔全体に基づいて行うことが、自然な結果につながります。
ご自身に合う部位選びと設計の方向は、診察で具体的にご確認ください。
LUNN皮膚科医院でご相談いただけます。
LUNN皮膚科医院 皮膚科専門医・院長 パク・ヒョンクォン
フィラーでは内出血、腫れ、炎症、色素沈着などが生じることがあり、まれに皮膚壊死・血管閉塞などの血管合併症が報告されています(医療法第56条に基づく副作用の告知)。
治療・施術の結果は、個人の状態によって異なる場合があります。
本コラムは医学情報の提供を目的として作成されています。







