ピコトーニングは短いレーザーパルスのエネルギーでメラニンを細かく砕き、肝斑やシミの改善を目指す色素治療です。
ただし、肝斑は再発しやすい慢性の色素疾患であり、施術後のケアによっては色素が再び濃くなることもあります。
再発を減らすには、紫外線対策と刺激を避けるケアを継続する必要があります(個人差があります)。
➊ピコトーニングは肝斑にどのように作用する?
ピコトーニングは、ごく短いレーザーパルスで色素を砕く施術です。非常に短い時間で強いエネルギーを届け、皮膚のメラニン粒子を細かく砕きます。
周囲の組織に熱が広がる前に、色素を選択的に砕くことが基本原理です。
そのため、低いエネルギーでも色素を分解でき、表皮への負担も比較的少ない傾向があります。ただし、これは熱損傷が少ないという意味で、色素が完全になくなるという意味ではありません。
波長によって標的となる色素の深さも異なり、浅い表皮の色素には短い波長、真皮の深い色素には長い波長がより適しているとされています。
➋シミと肝斑では、なぜピコトーニングへの反応が違う?
同じピコトーニングでも、一般的なシミと肝斑では反応の仕方が異なります。
日光黒子やそばかすなど表皮性の色素は、比較的短期間で明らかな改善を示すことが多くあります。
一方、肝斑には真皮の血管や炎症などの要因が関わり、ホルモンや紫外線などの刺激にも敏感なため、比較的治療が難しい色素疾患に分類されます。
複数の施術後比較研究でも、肝斑の改善の程度には個人差があり、大きな変化がないまま治療を終える例も報告されています。
| 項目 | シミ・日光黒子 | 肝斑 |
|---|---|---|
| 色素の位置 | 主に表皮 | 表皮と真皮の混合 |
| 反応の速さ | 比較的速い | ゆっくりで、個人差が大きい |
| 再発傾向 | 比較的少ない | 再発しやすい |
| 刺激への敏感さ | 比較的低い | 高い(刺激で悪化する可能性) |
「肝斑は一般的なシミと異なり、刺激に敏感に反応して一時的に濃くなることがある慢性の色素疾患です。」
➌肝斑の色素が再び濃くなる理由は?
肝斑が再び濃くなる最大の理由は、肝斑自体が再発傾向の強い慢性の色素疾患だからです。
既存の色素を分解しても、色素をつくる細胞の活動性が残っていれば、紫外線・摩擦・炎症などの刺激に再び反応し、色素をつくることがあります。

一部の研究では治療中に病変が一時的に濃くなる現象も観察されており、色素細胞が刺激に反応して活動性を高めるためと説明されています。
この場合は、強度を上げるよりも治療間隔を延ばす対応が必要です。
施術後の紫外線対策が不十分だと、薄くなった色素が再び濃くなる悪循環につながることがあります。
つまり、再発は施術の失敗というより、肝斑という疾患そのものの特性に近いものです。
➍施術後、どのようなケアで再発を減らせる?
ピコトーニング後のケアで最も基本となるのは紫外線対策です。
肝斑は紫外線によって色素細胞が再び活性化しやすいため、効果を維持するには日焼け止めを継続して塗る習慣が大切です。
| ケア項目 | 推奨事項 |
|---|---|
| 紫外線対策 | 外出の有無にかかわらず毎日塗り、屋外活動時は塗り直す |
| 施術間隔 | 肌の反応を確認しながら、数週間単位で十分な間隔を設ける |
| 肌への刺激 | 過度な摩擦・角質除去・刺激の強い成分の使用を控える |
| 施術後の外用製品 | 鎮静・保湿を目的とする製品でバリア機能の回復を補助する |
施術直後は皮膚のバリアが敏感になることがあり、鎮静と保湿を重視したケアが役立つ場合があります。ただし、特定の成分が再発を確実に防ぐとは断言できません。
- ✓A:表皮の色素(シミ)が中心―標的に適した波長の選択を重視
- ✓B:真皮混合型(肝斑)―低い強度と施術間隔の管理を組み合わせる
- ✓どちらも紫外線対策が必須で、目的に応じて強度を調整
➎ピコトーニングで起こり得る副作用と注意点
ピコトーニングはナノ秒レーザーに比べて炎症後色素沈着の発生が少ない傾向と報告されていますが、少ないということであり、起こらないという意味ではありません。
まれに色素沈着、色素脱失・減少、赤みが生じることがあります。
施術後の赤みが数日以上続く場合や刺激感が続く場合は、自己判断で放置せず診察を受けてください。
放置すると、かえって色素沈着につながる可能性があります。
施術部位の色素が一時的に濃くなるのは正常な経過の場合もありますが、続く場合は治療計画の調整が必要です。
肌の色が濃い方や肝斑が急速に広がった方は、副作用のリスクが比較的高いとされ、より慎重な対応が必要です。
➏ピコトーニングを勧める場合と慎重に考える場合
私がピコトーニングを勧めるのは、表皮を中心としたシミや日光黒子でお悩みの方、または肝斑でも病変が安定し、急速な広がりがない方です。
こうした場合は、比較的予測しやすい改善が期待できます。
ただし、最近肝斑が目立って広がった場合や、ホルモン変化・妊娠などで色素の活動性が非常に高い場合は、すぐに施術するよりも状態の安定を優先する方がよいことがあります。
医院の立場では施術を行うことが売上につながりますが、患者さんの状態を優先するなら、時期を遅らせる方がよい場合もあります。
「肝斑は再発傾向のある慢性の色素疾患です。一度の施術で完結する治療ではなく、継続的なケアが必要な過程として取り組むことが大切です。」

Qよくある質問
肝斑では、平均3〜5回、7〜8週間隔で行った症例が報告されています。
必要な回数は病変の状態により異なります(個人差があります)。
はい。治療中に病変が一時的に濃くなる現象が報告されています。
その際は、間隔を延ばして刺激を減らす方法で対応します。
表皮のシミは反応が速く明確な傾向がありますが、肝斑は真皮の要因や再発傾向があるため、比較的難治性に分類されます。
ナノ秒レーザーに比べて炎症後色素沈着の発生が少ない傾向と報告されていますが、まれに色素脱失・減少や一過性の色素悪化が起こることがあります。
まず色素の種類と肌の色を確認し、波長と強度を決めます。
1:1の診察後、一人ひとりの状態を反映した計画をご案内します(個人差があります)。
参考資料
- 2024年にJournal of Cosmetic Dermatologyに掲載された、低フルエンス730nmピコ秒レーザーによる肝斑治療の後ろ向き解析論文
- 2024年にLasers in Surgery and Medicineに掲載された、755nmピコアレキサンドライトレーザーとQS+Nd:YAG併用療法を比較したランダム化比較試験論文
肝斑の治療は、色素を消すことだけでなく、再び濃くならないように管理し続ける過程に近いものです。
ピコトーニングは短いレーザーパルスでメラニンを分解し、肝斑やシミの改善に用いる施術です。再発を減らすには、施術後のケアも必要です。
現在の色素が表皮中心なのか、再発の多い真皮混合型に近いのかは、実際に診察して判断する必要があります。
気になる点は、診察で直接ご確認ください。
皮膚科専門医・院長 パク・ヒョンクォン
ピコトーニング後には紅斑、腫れ、点状出血、まれに色素沈着や色素脱失・減少、一過性の色素悪化などが生じることがあります(韓国医療法第56条に基づく副作用の告知)。
治療・施術の結果は個人の状態により異なる場合があります。
本コラムは医学情報の提供を目的として作成しています。







